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2018/03/27

Logbook P.60 帰還

 異世界への転生。こんな芸当、神でない限りかなわないことだ。そう、神でない限り。
 俺は魔神に向かってそう告げた。魔神は少し驚いた表情を浮かべ、述べる。
「いかにも。汝を異界に飛ばしたのは我だ。だが、それを望んだのは汝であろう。」
俺は魔神に、これまでの経緯を端的に伝えた。
「把握した。つまり、汝は元の異界に戻りたいということだな。」
魔神はいう。魔神の物わかりの良さに俺は安堵のため息をついた。そして、魔神は詠唱を始めるのであった。
 「儀式は終わった。これで汝は15時間後に転移する。」
魔神は言う。現時刻は大体17時。つまり、明日の8時ぐらいに転移するようだ。俺は魔神に礼を告げ、残りの異世界生活を楽しむことにした。
 翌朝、俺は転移のことを忘れて学校に向かっていた。電車の振動が俺の腰を刺激する。今朝から軽く痛かった俺の腰は、段々と強い痛みに変わっていく。ガタンッ。電車が大きく揺れる。腰の痛みに朦朧とする意識の中、俺は楽しかった異世界生活を思い出す。小松菜が栽培した小松菜…。ここで俺の意識はなくなった。

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