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2018/03/14

Logbook P.50 クラッキング

 「確か、サイトーさん、こうやってた気がするで。」
そう言い、同志は俺にある仕草を見せた。右手の拳を、左手の掌で包み込み少し力を入れる。すると同志の手から、「コキッ」と音がした。
「サイトーさんもやってみ。」
なるほど、関節を鳴らすことが俺の対価なのか。俺はワクワクしながら拳と掌を合わせ、力を入れた。
 「ゴキゴキゴキッ!!」
凄まじい音に、俺とマリンカフェにいた人の大半が驚く。音を出したのは俺の関節だ。しかも、音がなっただけで圧力波は発生していないようだ。俺は懐疑の目を同志に向けた。
「それや!そのボキボキナ鳴らすのがサイトーさんの力やで!」
よくわからないが、同志は喜んでいた。嘘だろ。俺の力はクラッキングを起こす力なのか。確かにキャビテーションだが、こんな力、腰の役にも立たない。俺は同志に期待を裏切られ、腰を落とした。

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