ボールは小松菜の腹部に当たり、彼をそのまま吹き飛ばしていった。小松菜は体育館の壁にぶつかることでようやく止まり、ぴくぴくしていた。あいつはまだ生きているのか。俺の中に一筋の疑問が生じる。俺たちが心配そうに小松菜を見ている傍ら、外野にいたエビはトテトテと小松菜の方へ駆け寄る。あいつ、意外といいやつだな。俺は安堵とともに腰をさすった。
だが、エビは小松菜を介抱しに行ったわけではなかった。なんと、小松菜の近くに落ちているボールを拾いに行ったのだ。そして、念押しなのか、拾ったボールを小松菜に当てるた。なんて薄情なやつなんだ。激情により俺の腰が暴れだす。俺の足さえ動けば、小松菜のもとへ駆け寄れる。そう。俺たちはまだ、魔神の威圧から解放されていないのであった。
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