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2018/02/16

Logbook P.31 あつく

 狂気の笑みを浮かべボールを投げるあつく。コートのあちこちで疼く埋まるサンタコスの人々。疲れた表情を浮かべるチーム「一号館」。さっきまでの平穏はそこにはなかった。事の発端は約1分前。あつくが本気を出した瞬間に始まったのだった。
 1分前、コートの中央に立ったあつくは突然笑いながらボールを投げた。次の瞬間、ボールは物凄いスピードでおっちゃんに飛んでいく。だが、自称動けるデブは伊達ではなかったようで、難なくボールをキャッチし、あつくへ投げ返した。だが、あつくは避けようともせずに狂ったように笑い続けていた。ボールは着々とあつくへと向かう。あつくもこれまでか。俺が腰を撫でようとした瞬間、あつくは指パッチンをした。すると次の瞬間、あつくの目の前に赤い何かが現れたのだった。赤い何かはあつくの代わりにボールにあたり、あつくは落ちたボールを拾い、投げる。なんだこの赤いのは。そう思った俺は、赤い何かを注視した。それはサンタコスをした若い男性であった。若い男性は、ボールが当たった腕を抑えながら困惑の表情を浮かべていた。驚いた俺の視線は、あつくの方へ向いていた。あつくがボールを投げ始めてから約30秒。そこにはすでに6人のサンタクロースがいたのであった。

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