退屈な授業を終え、俺は学食へ向かおうと一号館を出た。今日のランチを考えながら歩いていると、後ろから聞き覚えのある声で呼び止められる。
「さいとーさんっ!」
俺は振り返ろうとした。はずだった。カクッと膝の裏に何かが当たり、俺は四つん這いの状態になっていた。俺はその状態のまま改めて振り返る。どうやら声の主は3m後方のグミオタだったようだ。グミオタは満面の笑みを浮かべながら近づき、俺の近くにしゃがみ込んで言う。
「ねぇ、そんなところで這いつくばってどうしちゃったのかな。」
この小ばかにするような口調。間違いない、こいつが犯人だ。どうせ遠隔膝カックン的な異能力だろう。くだらねぇ。俺に何か用か。俺は気を取り直してグミオタに問いかける。
「そうそう、来週に生協委員会主催の学科対抗異能力ドッジボール大会があるんだよね。参加してね。」
グミオタは楽し気に説明し始めた。もちろん俺は参加するつもりはない。なぜならそんなことしたら腰が痛くなるからだ。俺はグミオタの誘いを適当にはぐらかし、再び食堂へ足を向けるのであった。
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