”おーっと!さっそくサイトーさんの顔面にボールが直撃してしまった~!!大丈夫なのか??”
リクヤンの実況に、俺は我に返る。思ったより痛くないうえ、眼鏡も無事である。俺はほっとしながら腰を撫でおろした。
「腰助、大丈夫か。」
小松菜が声をかける。俺は眼鏡の安否を伝えるとともに、外野に移ろうとした。
”サイトーさんは大丈夫そうですね!ちなみに顔面はセーフなので外野に移る必要はないですよ!”
リクヤン、それは先に言ってくれ。俺はコートに戻り、仕切り直しとなった。ボールはTKNがちゃっかり拾っていたおかげでこちらのものだ。
TKNはボールを星太に渡し、星太はあつくへパスする。あつくは内野を狙い投げるが全く当たらない。しばらくあつくと星太のキャッチボールが続き、コートには普通のドッジボール感が出てきていた。これでは埒が明かないない。俺がそう思っていると、先にしびれを切らしたTKNが口を開いた。
「星~、やっちまえ~。」
この言葉に便乗して、星太が勢いづく。
「ついに俺の異能を見せる時が来たか。」
星太の異能。それがどんなものかは知らないが、星太の自信のある表情は、俺たちに根拠のない安心感を与えた。
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