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2017/10/25

PassagePlan20 海星

 俺は何をしているのだろうか。今日は上陸日なのだが、俺は海王丸パーク内の小さな浜辺にいた。俺にはまだ街に新しい出会いを求める勇気も、街に蔓延るリア充どもをみる勇気もなかった。だからこうして指でヒトデをつつくことしかできない。
 つつかれていたヒトデは徐々に深い方へ逃げていく。どうやら俺はこのヒトデに嫌われてしまったようだ。だが、一定距離離れたヒトデは進むのをやめた。その姿はどことなく優雅で気持ち良さげであった。まるで海水浴に来ているのかのようである。俺はふと、久しく湯船に浸かってないことを思い出す。明日は温泉にでも行こう。そう腰に誓うと共に、俺は立ち上がった。ずっとしゃがんでいたためか腰が痛いが、そんなことはどうでもいい。俺は丁寧にヒトデに礼を伝えると、腰を弾ませながら立ち去った。

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