乗船式を終え、本格的に乗船実習が始まった。初日の課業は船内案内と船内生活の説明だけで終わった。狭いボンクに横たわり、改めてボンク内を見回してみる。天井や引き出しの裏などあらゆるところに落書きが存在した。自分の名前や士官への悪口など探せば探すほど出てくる。夢中になって探していると、棚の落下防止用の棒に当たってしまい落としてしまった。反射的にそれを見る。
「日本丸マジックは起きない」
乱雑に書かれたその文字は、俺を絶望させた。日本丸マジックが起きなければ彼女が出来ないではないか。動揺と焦りで考えがまとまらなくなる。衝動的にツイートし、心を落ち着かせる。
一呼吸おいて、俺は「彼女が欲しい」と思った。
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